深層レポート 日本の政治 (50)

「イラク国会」を矮小化させた政府の凡ミス野党の勇み足

執筆者: 2004年3月号
エリア: アジア

 第百五十九回通常国会が一月十九日に召集されてから一カ月。国会では連日、イラクへの自衛隊派遣の是非をめぐり激論が戦わされた。 自衛隊の海外派遣に国会がこれほど関心を払ったのは、戦後初めて自衛隊の本隊が海を渡った一九九二年のカンボジアPKO派遣以来と言っていい。今度こそ隊員に初の犠牲者が出るかもしれない、隊員による発砲で現地人に死傷者が出るかもしれないとの懸念が議場に重苦しい緊張感を与えていた。 九・一一テロを受けてのインド洋への海上自衛隊派遣に際しては、法案に反対しながら派遣は承認し、自衛隊を送り出す側に回った野党第一党・民主党も今回は派遣反対の論陣を張った。報道各社の世論調査でも賛否が拮抗し、まさに国論を二分する中での与野党攻防。最大の論点は憲法九条に抵触しないか、また「日米同盟」と「国際協調」の両立という戦後日本外交の基本原則を踏み外すことにならないかという問題だった。

カテゴリ: 政治 軍事・防衛
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