2011年7月23日は1年後の秋からの中国共産党の指導体制を占うに当って、分水嶺を形成した可能性がある。2つの要因が重かったからだ。ひとつはアモイを舞台に起きた巨額密輸事件の主犯格、頼昌星がカナダから強制送還され、北京国際空港で逮捕されたことである。そしてもうひとつは浙江省温州市で起きた「和諧号」の脱線転覆事故である。前者は胡錦濤総書記が図って実施したものであり、後者は事故が切り捌いた中国社会の断面の露出である。 中国の今後の政治変動を占ううえで、どのような分析枠組みが有効なのかが即座に試されよう。いまだ世界中の中国分析者にあっても確たる説はない。
この続きは会員登録をすると読むことができます。
「フォーサイト」は、月額800円のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。
フォーサイト会員の方はここからログイン