「財界総理」の名が泣く「米倉会長」呆れた妄言録

執筆者:安西巧 2011年10月5日
エリア: アジア
東電擁護の旗手・米倉氏 (C)時事
東電擁護の旗手・米倉氏 (C)時事

「日本は経済一流、政治は二流」と言われたのはせいぜいバブル期までのこと。数年来の短命政権の繰り返しで政治は三流以下になり下がったが、経済も大幅なランクダウンを免れなかった。スケールアップしたグローバル化に効果的な対応ができず、日本の有力企業は成長の糧を見いだせないまま、時代を追うごとに競争力を低下させている。その根本的要因を探ると、相も変わらぬ“老人支配”に行き着く。有力企業の大半がいまだに60代以上の社長、会長を経営トップとして頂き、過去の成功体験を基準に老耄経営を続けている。  内閣総理大臣が一国の政治を体現する人物であるなら、経済のそれは「財界総理」と呼ばれる経団連会長だろう。現職の米倉弘昌(74)は誰もが嘲笑する「東京電力擁護論」を頑固に説き続け、そればかりではなく、「空洞化」を殺し文句に円高対策や原発再稼働などの要求を政府に突きつけている。

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執筆者プロフィール
安西巧(あんざいたくみ) ジャーナリスト 1959年福岡県北九州市生まれ。1983年早稲田大学政治経済学部政治学科卒、日本経済新聞社入社。主に企業取材の第一線で記者活動。広島支局長、編集委員などを歴任し、2024年フリーに。フォーサイトでは「杜耕次」のペンネームでも執筆。著書に『経団連 落日の財界総本山』『広島はすごい』『マツダとカープ 松田ファミリーの100年史』(以上、新潮社)、『さらば国策産業 電力改革450日の迷走』『ソニー&松下 失われたDNA』『西武争奪 資産2兆円をめぐる攻防』『歴史に学ぶ プロ野球16球団拡大構想』(以上、日本経済新聞出版)など。
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