12月下旬の台湾全土は、連日の冷たい雨に打たれていた。気温は10度を下回り、路上ではコートをはおってマフラーを首にまきつける人々であふれていた。新聞には「寒流来了」(寒気団が来た)の見出しが踊っていた。 だが、台湾ではその寒さを吹き飛ばすような熱気が、最終盤の総統選キャンペーンから発せられていた。先月この欄で報告したように、4年に1度行なわれる総統選は今回、「ほぼ互角」の膠着状態に陥っている。総統候補は、現職候補の国民党・馬英九、初の女性総統を目指す民進党の蔡英文、国民党との選挙協力を振り切って出馬した親民党の宋楚瑜の三人。馬英九は一時、10ポイント以上も蔡英文を引き離していたが、最新の世論調査では、互角あるいは数ポイントのリードまで蔡英文に詰め寄られている。一方、宋楚瑜の支持率は10%以下でとどまっており、当選の見込みはないが馬英九の票を食う要因になっている。

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