育てるべきは「本物の政治家」か「本物の政党」か――議員の質と選挙制度

執筆者:待鳥聡史 2012年1月11日
タグ: 日本
エリア: アジア

 昨年11月、民主党の渡部恒三最高顧問や自民党の加藤紘一元幹事長らが中心になって、衆議院選挙における中選挙区制復活を目指し「衆議院選挙制度の抜本改革をめざす議員連盟」を発足させた。報道によると、加藤氏らは小選挙区制導入後に「本物の政治家が育ってこなかった」ことに危惧を抱いているという(MSN産経ニュース2011年11月13日付)。
 政治家が「本物」であるかどうか、あるいは「良質」であるかどうかを直接測ることはできない。だが、現在の政治学では、ある選挙制度の下で政治家がどのような行動を取る可能性が高いかは分かっているので、中選挙区制における「本物の政治家」として何がイメージされているのかを推測し、その当否を論じることはできる。そこで以下では、政治家の行動と選挙制度の関係について考えてみることにしよう。

カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
待鳥聡史(まちどりさとし) 1971年生れ。京都大学大学院法学研究科博士後期課程退学。博士(法学)。大阪大学大学院助教授などを経て、京都大学大学院法学研究科教授。専攻は比較政治論、アメリカ政治論。著書に『首相政治の制度分析―現代日本政治の権力基盤形成』(千倉書房、サントリー学芸賞受賞)、『代議制民主主義―「民意」と「政治家」を問い直す』(中公新書)、『政党システムと政党組織』(東京大学出版会)、『政治改革再考』(新潮選書)など。
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