君子は豹変す、と言ったら褒めすぎか。何を血迷ったか、と言うと一国の宰相にあまりにも失礼になるか。小泉純一郎首相が国連総会で演説し、日本が国連安保理常任理事国になりたいと正式に表明した。日本の関係者以外、聴衆は数えるほどしかいなかったとは言え、これは一大事である。 何が一大事なのか。日本が意欲を示したことではない。常任理事国入りは外務省の悲願だったから、さして不思議なことではない。一大事というのはこれまで常任理事国入りにもっとも強硬に反対していた首相が推進派の先頭に立ったことである。「結構なことじゃないか。間違いを正す、これぞ君子」とうなずく人も多かろうが、なぜ推進派に転じたのかご本人は一切語ろうとしない。

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