見知らぬ町を訪れると、かならず足を運ぶ場所が二カ所ある。一つは中央駅で、二つ目がマーケットだ。お目当ての中央駅がない町ならば、バスのターミナルを覗く。 中央駅やバス・ターミナルに佇んでみると、その町の規模や地理的な広がり、さらに市民生活の断片をつかむことが出来る。肉、魚、野菜、穀物、香辛料、花、雑貨品を並べるマーケットも同じだ。緑黄色野菜が鮮やかな色彩を競いあうマーケットか、それとも土色のジャガイモが幅を利かせているかで、食生活の豊かさの度合いを垣間見ることができる。民族の生活史や社会史も端的に表している。

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