80時間世界一周 (4)

「非ブランド品」の自動小銃が簡単に手に入る理由

執筆者:竹田いさみ 2004年12月号
タグ: ロシア インド
エリア: アジア

 パキスタンはイスラム圏で唯一、自動小銃のような小型兵器と、核兵器の双方を生産してきた国だ。カーン博士が手がけた精密ネットワーク「核の闇市場」は摘発されたが、家内制手工業にまで浸透した小型兵器の闇市場は、未だ手付かずのままである。 写真はパキスタンの古都ラホールを訪問した際に、市内の銃砲店を覗いたときのものだ。ラホールの旧市街は、前近代がそのまま残ったような佇まいで、テロの恐怖感さえなければ趣のある街だ。さまざまな商店が軒を連ねる新市街の一角に銃砲店があった。あまりに目立たない店構えのため、よそ者には気づきにくい。店の陳列棚におよそ十丁、奥の倉庫にも箱詰めにされたAK-47が見え隠れする。前号でも紹介した自動小銃だ。「お値段は」と聞くと、二百五十ドルとのこと。「ちょっと高いな」との一言に対して、大幅な割引と実弾一箱をサービスするとの答え。日用品と同じ感覚で、買おうと思えば武器が買えるのだ。

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執筆者プロフィール
竹田いさみ(たけだいさみ) 獨協大学外国語学部教授。1952年生れ。上智大学大学院国際関係論専攻修了。シドニー大学・ロンドン大学留学。Ph.D.(国際政治史)取得。著書に『移民・難民・援助の政治学』(勁草書房、アジア・太平洋賞受賞)、『物語 オーストラリアの歴史』(中公新書)、『国際テロネットワーク』(講談社現代新書)、『世界史をつくった海賊』(ちくま新書)、『世界を動かす海賊』(ちくま新書)など。
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