今年10月、伊勢神宮で20年に1度の式年遷宮が行なわれる。正殿と御垣内の建物が造り替えられるのだ。持統4年(690)に始められて以来、1300年の歴史を誇っている。社殿も、おおよそこのころ整えられたと考えられている。
最高の社格を誇る伊勢神宮は、多くの人々を魅了してきた。江戸時代にはお蔭参りが流行り、日本各地から人が押し寄せた。
ドイツの建築家ブルーノ・タウト(1880-1938)は、ほとんど直線だけで造形された社殿(唯一神明造)そのものの美しさを絶賛し、著書『日本美の再発見』(岩波新書)の中で、「完成した形の故に全世界の賛美する日本の根原」と評している。

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