復興を妨げているのはテロだけではない。中東の「経済改革モデル」にというアメリカの目論見は崩れ、イラクは「失敗国家」化の瀬戸際。 イラク戦争終結後、英『エコノミスト』誌は米国を中心とする連合国暫定当局(CPA)が打ち出したイラクの経済再建案を、「まるで外国人投資家のウィッシュ・リスト(欲しいもの一覧)だ」と論評した。 外国企業は一〇〇%の所有(石油部門を除く)を認められ地元企業と同じ法的権利を持つ。外国銀行は自由に支店を開設でき、法人税は一五%以下。関税も五%――。「実現すれば資本家にとっての理想郷」になるはずのイラクは、しかし、当初の青写真とは程遠い現実の中にある。

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