株価と不動産が上昇し、マネーゲームが過熱する……日本経済は久しぶりの“躁状態”だ。バブルの歴史は繰り返すのか? 祭りの後。そんな感じを抱かせるわが宰相である。勝ち過ぎてしまい、次は負けしかない。あるいは、もう抵抗勢力は作り出せない。こんな憂い顔のサムライをよそに、日本の課題は募ってゆく。 吉崎達彦『1985年』(新潮新書)は、今日から八〇年代半ばを振り返った最高の『オンリー・イエスタデイ』であり『シンス・イエスタディ』(いずれもフレデリック・ルイス・アレン著、邦訳は筑摩書房)である。八五年の物語には胸が締め付けられる思いがする。今繰り返しているドラマが八五年から九〇年までの「日本が最も幸せだった時期」だからではないか。

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