アフマディネジャードを支持しているのは誰か

執筆者:田中浩一郎 2006年1月号
エリア: 中東

大統領に対する強硬派の支持は根強い。核問題交渉をめぐる思わぬ“勝利”に我が意を得たりと、さらなる強硬路線を歩む懸念も。 十二月十一日、イラン国会がバジリハマネ石油相代行の石油相就任を承認し、イランの全閣僚メンバーが政権発足四カ月にしてようやく確定した。アフマディネジャード大統領が指名した石油相候補は四人目。汚職一掃を公約に掲げて大統領選を戦い、大衆の支持を得たアフマディネジャードにとって、旧来の利権の絡む石油相の人選で躓いたことは無念であったはずだ。 定数二百九十のイラン国会の中で、「保守派」とされる議員の数は二百程度を占めている。政治的立場を色分けすれば同じく「保守強硬」とされる大統領が今これだけの逆風に遭っていることは、イランの内政がハタミ前大統領時代の「保守対改革の二極対立」から大きく変化したことを示している。

フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
田中浩一郎(たなかこういちろう) 慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科、総合政策学部教授 1961年生まれ。1985年東京外国語大学外国語学部ペルシア語学科卒業、1988年東京外国語大学大学院修士課程修了。専門はイランとアフガニスタンを中心とする西アジアの地域研究とエネルギー安全保障。1989年から在イラン日本大使館専門調査員を3年間務める。その後、外務省国際情報局専門分析員、国際連合アフガニスタン特別ミッション政務官、一般財団法人日本エネルギー経済研究所常務理事などを歴任。最近ではNHK国際放送番組審議会副委員長や経済産業省臨時専門アドバイザーを務めた。
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top