一時は資金不足や内外の政治的事情から維持が危ぶまれていた、自国民を標的としたポル・ポト派の“国家犯罪”に対する裁判が 、どうやらカンボジアでは続いていたようだ。8月7日、首都プノンペンの特別法廷は、ポル・ポト政権で人民代表議会議長だったヌオン・チア(88歳)と、国家幹部会議長だったキュー・サムファン(83歳)の両被告を裁いた。
裁判における最大の争点は、1975年から77年にかけてポル・ポト政権が実施した都市住民の農村部への強制移住によって、200万人超ともいわれる人々が餓死・病死した事実である。被告側は、自国民に対するジェノサイドとでも呼ぶべき蛮行を、「米軍の爆撃情報があり、避難させるためだった」と抗弁したが、裁判官は受け入れず、求刑通りに最高刑の終身刑を申し渡した。判決を不服とする被告側弁護団は、2審制に従って控訴している。

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