インドのどこでもいいが、まあカルカッタの中央駅としよう。立ち止まって時刻表を眺めていると、足を引っ張る者がいる。驚いて見ると、靴磨きの少年である。「磨いてやるから靴をこっちへ出せ」と、身ぶりで言っている。 また、夜のバンコクで信号が赤だったから車を停めた。すると近寄ってきて、頼みもしないのにフロントガラスを拭く子供がいる。後ろには車の列があるし、信号は今にも変わるから、危なくって仕様がない。追っ払うよりはとポケットを探って、なにがしかのチップを与える。 アジアからヨーロッパ南部に至る広い地域で、子供たちは働いている。児童労働は必ずしも彼ら自身の遣うカネのためだけでなく、「マッチ売りの少女」のように、家計を助けている。ただし組織された労働ではない。
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