ベルギーに住み始めて六年目になる。ところが、この国がいつまでこのまま世界地図上に残るのか危ぶむ声が、ここのところ急に声高になってきた。 ことの起こりは、日本でも報道されているように、二〇〇七年六月の総選挙から半年たっても、違う言語圏の間の対立が理由で新内閣ができず、政治空白が続いていることにある。 ベルギーは、北部に住みオランダ語を話すフランダース人と、南部に住みフランス語を話すワロン人、ドイツ国境沿いでドイツ語を話すドイツ系住民と、公用語だけで三つある。こう書くと、スイスのようなイメージをもたれる方もあるかもしれない。

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