饗宴外交の舞台裏 (124)

夫よりも“称賛”を浴びたサルコジ夫人の外交デビュー

執筆者:西川恵 2008年5月号
エリア: ヨーロッパ

 前号で、フランスのサルコジ大統領と結婚した元スーパーモデルのカーラ・ブルーニさんを取り上げた。そのカーラ夫人が、三月二十六、二十七の両日、大統領とともに英国を国賓として訪問し、ファーストレディーとしての力量を早速試された。 訪問前からカーラ夫人がらみの報道は過熱気味だったが、訪英当日、英国のタブロイド紙はカーラさんのモデル時代のヌード写真を一斉に掲載した。 ヒースロー空港でチャールズ皇太子とカミラ夫人に迎えられた大統領夫妻は、ロンドンから約三十キロのウィンザーの町に向かい、エリザベス女王とエジンバラ公の出迎えを受けた。手を差し伸べる女王に、カーラ夫人は腰をかがめ、右ヒザを地面につけるようにしてあいさつした。最上級の敬意の表明だった。

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執筆者プロフィール
西川恵(にしかわめぐみ) 毎日新聞客員編集委員。日本交通文化協会常任理事。1947年長崎県生れ。テヘラン、パリ、ローマの各支局長、外信部長、専門編集委員を経て、2014年から客員編集委員。2009年、フランス国家功労勲章シュヴァリエ受章。著書に『皇室はなぜ世界で尊敬されるのか』(新潮新書)、『エリゼ宮の食卓』(新潮社、サントリー学芸賞)、『ワインと外交』(新潮新書)、『饗宴外交 ワインと料理で世界はまわる』(世界文化社)、『知られざる皇室外交』(角川書店)、『国際政治のゼロ年代』(毎日新聞社)、訳書に『超大国アメリカの文化力』(岩波書店、共訳)などがある。
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