銀行が焦る新型インフルエンザ対策

執筆者:鷲尾香一 2008年9月号
タグ: 日銀 日本

 新型インフルエンザの大流行は、専門家の間で「“もしも発生したら”ではなく、“いつ発生するか”の問題」と言われる。厚生労働省は、新型が全国的に流行した場合、国民の約四分の一が感染し、死亡者数は約六十四万人にのぼると推計している。 新型インフルエンザは、「人的被害」を急速かつ広範囲に、そして長期間にわたって拡大させる。一回の感染流行の波は約二カ月間続くとされており、その波は一年以上繰り返すとも考えられている。そうなれば、社会システムは麻痺してしまう。一般に年齢が高くなるほど免疫力や体力は弱まる。企業の役員や幹部クラスが相次ぎ罹患すれば、企業は判断能力や経営責任の所在を失い、決済もできず倒産する可能性もある。倒産が連鎖すれば日本経済は壊滅的な打撃を受ける。

カテゴリ: 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
鷲尾香一(わしおこういち) 金融ジャーナリスト。本名は鈴木透。元ロイター通信編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで様々な分野で取材・執筆活動を行っている。
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