厚労省に任せていては、年金記録問題も、社会保障の不安そのものも解決しない。発想を変えれば、いい方法がある――。 年金記録問題の泥沼は続いている。消えた年金、消された年金、すぐ返らない年金。年金記録問題の完全解決にはこれから十年間くらいかかるだろう。 実は、社会保険庁の年金記録が杜撰であるのは政府内でかなり早くから知られていた。そこで、年金不信の払拭という大義名分で、経済財政諮問会議でも「社会保障個人勘定」の創設が議論されていた。年金・医療・介護・生活扶助の社会保障を個人単位の口座で総合的・一元的に管理した上、税金の支払いも統合できるため、トータルの給付と負担が明瞭になるのが社会保障個人勘定というシステムのアイディアだ。老後の不安をなくすことにつながる。

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