テヘランとフロリダの距離

執筆者:名越健郎 2009年8月号
エリア: 中東 北米

 接戦が予想された6月のイラン大統領選は、保守強硬派・アフマディネジャド大統領の圧勝と発表されたことから、改革派のムサビ元首相に結集する若者らが決起し、100万人規模の反政府運動に発展。イスラム神権政治は1979年のイラン革命後最大の危機に直面した。 若者らは「不正選挙」に抗議してグリーンのシャツや横断幕を掲げて行進。「緑の革命」と呼ばれた。首都テヘランなどでは警官隊や民兵組織がデモ隊に発砲し、死者も出た。政権側は再集計を約束したが、デモ隊の再選挙実施要求は収まらない。 状況はなにやら、ブッシュとゴアの間で決着がつかなかった2000年米大統領選のフロリダ州での延長戦を彷彿とさせる。

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執筆者プロフィール
名越健郎(なごしけんろう) 拓殖大学海外事情研究所客員教授。1953年岡山県生まれ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社、外信部、バンコク支局、モスクワ支局、ワシントン支局、外信部長、編集局次長、仙台支社長を歴任。2011年、同社退社。拓殖大学海外事情研究所客員教授。国際教養大学特任教授、拓殖大学特任教授を経て、2024年から現職。著書に、『秘密資金の戦後政党史』(新潮選書)、『ジョークで読む世界ウラ事情』(日経プレミアシリーズ)、『独裁者プーチン』(文春新書)など。
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