経済先行で「小三通」を実現させた大中華圏経済の躍動[香港発]台湾側代表の金門県知事が「対岸のアモイとの間のたった六キロの海を越えるのに、我われは五十二年もかかってしまった」とのことばを残し、二百人ほどの仲間と共に船に乗り込んだのは二〇〇一年一月二日午前九時。そして十一時五十分、一行はアモイ市の台湾問題担当者の出迎えを受け、大陸に待望の第一歩を印した。 思えば両岸の往来が絶えたのは、国共内戦が共産党の勝利に終わり、北京に中華人民共和国が誕生し、一方の主役である蒋介石が部下と中華民国政府を率いて台湾に遁れた一九四九年のことだ。以来、時に砲撃合戦を繰り返すまでに緊張した両岸関係も、七九年には転機を迎えることになる。

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