クオ・ヴァディス きみはどこへいくのか?

外務省とはそういう役所

執筆者:徳岡孝夫 2001年2月号
タグ: 日本 アメリカ
エリア: アジア

 三億か五億か知らないが、一室長の外交機密費流用くらいでオタオタするな。いまを去ること六十年、アメリカと戦争を始めようかという前の晩、仲間同士で飲み食いして翌日の指定時刻に宣戦布告文を渡せず、真珠湾攻撃の一時間後に持っていき、日本国のツラに永遠に泥を塗った。外務省とはそういう役所だ。日本人は死んでも忘れるな。 東京の外務省は海軍と詰めて時刻表を作り、攻撃開始の直前、一九四一年十二月七日(日)午後一時に宣戦布告の覚書を米側に手交することにした。長い覚書を十四部に分け、六日午後からワシントンの日本大使館に向けて打電し始めた。それに先立ち、覚書の取り扱いに関する訓令を送った。

カテゴリ: 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
徳岡孝夫(とくおかたかお) 1930年大阪府生れ。京都大学文学部卒。毎日新聞社に入り、大阪本社社会部、サンデー毎日、英文毎日記者を務める。ベトナム戦争中には東南アジア特派員。1985年、学芸部編集委員を最後に退社、フリーに。主著に『五衰の人―三島由紀夫私記―』(第10回新潮学芸賞受賞)、『妻の肖像』『「民主主義」を疑え!』。訳書に、A・トフラー『第三の波』、D・キーン『日本文学史』など。86年に菊池寛賞受賞。
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