「九〇年代は日本にとって失われた一〇年といわれますが、私はあえて、育まれた一〇年だと考えたいのです。市民社会の基本的な倫理、多様性のあり方、公平で公正な社会の追求など深層海流ができつつあるのだ、と」 朝日生命保険社会貢献室長の西口徹は、自らの言葉にちょっと照れながらもこう言い切った。 たしかに世の中は変わり始めている。長野県や千葉県の知事選挙を見ても変化を導いたのは市井の人々だ。彼らは政党人であるわけでもなく、また今後も政治運動に力を注ぐような人々でもない。だが、そこに示されたものは、構造改革への力強い意志であった。その意志は、投資活動においても具体的な姿を見せ始めている。

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