お座敷遊びは楽しいぞ

執筆者:成毛眞 2002年4月号
タグ: 日本

 ここ十年ほど、年に数回の割合で、お座敷遊びをしている。まわった花街は、東京では赤坂、新橋、神楽坂、円山町。京都の祇園町、宮川町。金沢の主計町、東茶屋町など。「一見さん、お断り」の京都に限らず、料亭やお茶屋のなじみ客に知人がいなければ足を向けにくい場所であるがゆえに、知っている店の数を競うことはしない。一花街、一軒だ。 いわゆる芸者遊びをしているわけではない。芸者衆の芸を愛でるのだ。新興の温泉場ならともかく、日本舞踊家や和楽器演奏者ともいえる有名花街の芸者衆は、数少ない伝統文化の継承者になりつつある。文字通り、寝る間を惜しんで朝から晩まで稽古をし、夜は屏風の前でそれを披露する厳しい毎日。それでもにこやかにお座敷を務める芸者衆に会うと、多くの日本人が捨て去った伝統文化だけでなく、勤勉や努力を重んずるという失われた日本の精神風土にも出会えた気がして、時に罪悪感や喪失感さえ抱くことがある。

カテゴリ: カルチャー
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執筆者プロフィール
成毛眞 中央大学卒業後、自動車部品メーカー、株式会社アスキーなどを経て、1986年、マイクロソフト株式会社に入社。1991年、同社代表取締役社長に就任。2000年に退社後、投資コンサルティング会社「インスパイア」を設立。2011年、書評サイト「HONZ」を開設。元早稲田大学ビジネススクール客員教授。著書に『面白い本』(岩波新書)、『ビジネスマンへの歌舞伎案内』(NHK出版)、『これが「買い」だ 私のキュレーション術』(新潮社)、『amazon 世界最先端の戦略がわかる』(ダイヤモンド社)、『金のなる人 お金をどんどん働かせ資産を増やす生き方』(ポプラ社)など多数。(写真©岡倉禎志)。
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