天命を知るまで

執筆者:成毛眞 2004年4月号

 会社を設立して、そろそろ四年が経とうとしている。二〇〇〇年をピークにITバブルがはじけ、経済全体もデフレ不況から抜け出すだろうと読み、製造業や流通業などの古参企業を応援する仕事を目指した。 時代の最先端であったIT企業の経営ノウハウを古い体質の企業に適用してもらうことで、体質改善による業績向上が可能だと考えたのだ。対象となる企業の株式を事前に取得しておけば、コンサルティングの結果に対して責任を持つこともできるし、収益も見込めると期待した。 これはプライベート・エクイティの一種なのだが、当時の日本はその言葉になじみがなく、「自己責任型コンサルティング・ファーム」と呼んでみたりした。ところが最近では企業再生ファンドが大はやり。国の内外の金融機関が殺到している。しまいには日本国まで産業再生機構などというビジネスをはじめてしまった。

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執筆者プロフィール
成毛眞(なるけまこと) 中央大学卒業後、自動車部品メーカー、株式会社アスキーなどを経て、1986年、マイクロソフト株式会社に入社。1991年、同社代表取締役社長に就任。2000年に退社後、投資コンサルティング会社「インスパイア」を設立。2011年、書評サイト「HONZ」を開設。元早稲田大学ビジネススクール客員教授。著書に『面白い本』(岩波新書)、『ビジネスマンへの歌舞伎案内』(NHK出版)、『これが「買い」だ 私のキュレーション術』(新潮社)、『amazon 世界最先端の戦略がわかる』(ダイヤモンド社)、『金のなる人 お金をどんどん働かせ資産を増やす生き方』(ポプラ社)など多数。(写真©岡倉禎志)。
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