原発輸出は日本産業の救世主になれるか
エレクトロニクス、自動車という日本産業の両輪を担う産業が競争力低下に見舞われ、工場の海外流出も加速するなかで、日本のリーディング産業として電力、鉄道、水処理などインフラ関連分野への期待が広がっている。そのなかでも最も大きな話題を呼んでいるのは原子力発電プラントの輸出だ。 2009年12月末に決まった韓国コンソーシアムによるアラブ首長国連邦(UAE)アブダビの原発受注は、日本の産業界に大きな衝撃を与えた。原子炉本体に関連インフラ、燃料供給、人材トレーニングも含め総額400億ドルという商談の規模もある。だが一番の理由は、韓国の原子力産業には原子力本体はもちろん蒸気発生器(SG)など関連機器の輸出実績もほとんどなく、本国から遠く離れた湾岸地域で原発建設商談に勝てるとは、世界の原子力業界関係者も考えていなかったからだ。アブダビ案件では日米連合とフランスのアレバ・グループが優勢とみられており、とりわけアブダビとは政治的にも関係の深いフランスが有利との見方が圧倒的だった。韓国自身にとっての受注の重みは、政府が受注の決まった12月27日を「原子力の日」としたことによく表れている。

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