河本大作大佐といえば、戦前の日本陸軍についてあまり詳しくない人でも名前は聞き覚えがあるのではないだろうか。なにしろ、中国の軍閥・張作霖を、列車に爆薬を仕掛けて殺害した、とされている人物だ。日本どころか、中国でも悪名は鳴り響いている。
昭和3年、満州鉄道と京奉線が交叉する地点で、張作霖が乗った特別列車が大爆発を起こし、張作霖は重体となって死亡した。河本大佐は関与を認め、責任を負って陸軍を離れた。しかし、その現場状況や河本大佐自身の証言に矛盾点が多いことも知られており、私自身も、後に民間人として山西省日本兵残留問題で暗躍した河本大佐という人物への関心もあって、この問題には引っかかりを感じていた。

「フォーサイト」は、月額800円のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。
フォーサイト会員の方はここからログイン