またまた訪中したタイのシリントーン王女

執筆者:樋泉克夫 2012年4月10日
タグ: 習近平 中国 タイ
エリア: アジア

 タイのシリントーン王女が、またまた訪中した。彼女の訪中は1980年代初頭の初訪中以来、すでに30回を超え、訪問先は中国全土に及んでいる。平均して1週間前後の日程だが、語学研修のために北京に1カ月以上滞在したこともある。おそらく世界中の王族の中で彼女ほどの訪中歴を持つ者はいないだろう。さほどまでに彼女が中国に“入れ込む”のは何のためか。単なる儀礼だけでは済まされないだろう。

 4月5日、彼女を北京の釣魚台国賓館に迎えたのは、薄熙来の失脚が明らかとなって以来、権力闘争で旗色の悪い習近平副主席だった。胡錦濤主席、温家宝首相、李克強副首相――胡錦濤派(団派)の3首脳の派手な外交攻勢に較べて地味ではあるが、単なる外交儀礼的な日程消化ではなさそうだ。

カテゴリ: 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
樋泉克夫(ひいずみかつお) 愛知県立大学名誉教授。1947年生れ。香港中文大学新亜研究所、中央大学大学院博士課程を経て、外務省専門調査員として在タイ日本大使館勤務(83―85年、88―92年)。98年から愛知県立大学教授を務め、2011年から2017年4月まで愛知大学教授。『「死体」が語る中国文化』(新潮選書)のほか、華僑・華人論、京劇史に関する著書・論文多数。
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