西アフリカのギニア湾岸に位置する小国ギニアビサウの政治の行方が静かな注目を浴びている。残念ながら悪い意味での注目である。この小国は今、世界の捜査機関の間で「麻薬国家」と呼ばれているのだ。
ギニアビサウの国土面積3万6125平方㌔は九州にほぼ等しく、人口154万7000人(2011年推計)は京都市よりやや多い。2010年の国内総生産(GDP)総額8億8000万㌦(約700億円)は、日本の小さな自治体の規模に過ぎない。国民の10人に7人は1日2ドル以下で生活している世界最貧国の一つだ。
元々はポルトガルの植民地であり、解放闘争の末に1973年独立を宣言した。独立後の歴史は複雑だが、ひと言で言えばクーデターの繰り返しである。この国では1994年に初の複数政党制による大統領選が実施されて以降、任期満了した大統領がいない。

「フォーサイト」は、月額800円のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。
フォーサイト会員の方はここからログイン