行き先のない旅 (22)

戦地や被災地での支援に必要な力とは

執筆者:大野ゆり子 2005年3月号
エリア: ヨーロッパ

 先日、ブリュッセルのスーパーのレジで、「スマトラ沖地震救援金受付」というポスターが眼にとまった。ほんの少額だがお釣りを寄付すると、買い物同様に「TSUNAMI募金」と記載されたレシートを渡してくれる。仏系スーパー「カルフール」では、こうした募金の合計を算出し、「先週、いくらの募金を赤十字に寄付しました」とポスターで報告する。募金をしようと思いながら、テレビで流れる赤十字の口座番号を控え損ねた私には、有難いシステムだった。 ベルギーの赤十字がショッピングセンターで「月五ユーロ募金キャンペーン」を行なっていたこともある。個人にとっては、外食のコーヒー二杯を我慢するぐらいの金額で、アフリカの子供たちにワクチンを送れる。毎月、銀行で五ユーロが自動引き落としされ、年末には税金控除のための書類が送られてくる。日本でも航空会社のマイルやクレジットカードのポイントを寄付や支援に利用できるようだが、こうしたやり方は、懐に大きな負担がかからず、即座に、そして継続的に行なえる。郵便局や銀行での振込みは、長蛇の列を見て、明日にしようなどと思いがちだ。

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執筆者プロフィール
大野ゆり子(おおのゆりこ) エッセイスト。上智大学卒業。独カールスルーエ大学で修士号取得(美術史、ドイツ現代史)。読売新聞記者、新潮社編集者として「フォーサイト」創刊に立ち会ったのち、指揮者大野和士氏と結婚。クロアチア、イタリア、ドイツ、ベルギー、フランスの各国で生活し、現在、ブリュッセルとバルセロナに拠点を置く。
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