饗宴外交の舞台裏 (96)

胡錦濤イギリス訪問を迎えた「弾圧反対」のプラカード

執筆者:西川恵 2006年1月号
エリア: ヨーロッパ アジア

 中国の胡錦濤国家主席が十一月八日から十五日まで英、独、スペインの欧州三国を歴訪した。 英国では胡主席訪問の数日前、英王室スポークスマンが記者会見を行ない、英国滞在中(八―十一日)の胡主席のスケジュールを発表したが、記者団から一斉に質問が出た。「はじめて国賓として来るのに、なぜ行事が少ないのか」「ロンドン市内から一歩も出ないのはなぜか」。 胡主席は到着当日の八日夜、バッキンガム宮殿でエリザベス女王主催の歓迎晩餐会に出席。九日からブレア首相との会談・昼食会、王立芸術博物館での清朝皇帝三代展のテープカットなどがあるが、宿舎の宮殿を出るのは滞在期間中わずか四回。

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執筆者プロフィール
西川恵(にしかわめぐみ) 毎日新聞客員編集委員。日本交通文化協会常任理事。1947年長崎県生れ。テヘラン、パリ、ローマの各支局長、外信部長、専門編集委員を経て、2014年から客員編集委員。2009年、フランス国家功労勲章シュヴァリエ受章。著書に『皇室はなぜ世界で尊敬されるのか』(新潮新書)、『エリゼ宮の食卓』(新潮社、サントリー学芸賞)、『ワインと外交』(新潮新書)、『饗宴外交 ワインと料理で世界はまわる』(世界文化社)、『知られざる皇室外交』(角川書店)、『国際政治のゼロ年代』(毎日新聞社)、訳書に『超大国アメリカの文化力』(岩波書店、共訳)などがある。
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