クオ・ヴァディス きみはどこへいくのか?

消えたマレーシア機の謎

執筆者:徳岡孝夫 2014年4月9日
エリア: アジア

 今を去ること77年の昔話。アメリカにアメリア・イアハート(1897-)という、怖いもの知らずの女流飛行家がいた。

 彼女が生きたのは、どんな時代か? 1918年に終わった第1次世界大戦(当時は1,000万人が戦死する大戦争など2度とないと誰もが思ったから「欧州大戦」と呼んだ)で、史上初めて武器としての飛行機が登場した。だが、その主力は複葉機だった。

 リンドバーグが単葉単座機で大西洋単独横断に成功したのが1927年。それは人類に、長距離飛行という新しい可能性を拓いた。

 1937年、イアハートは赤道上世界一周飛行を発想した。ロッキード製、乗客12人の旅客機エレクトラ10Eの客席を改造し、予備の燃料タンクを積み、カリフォルニアを起点にニューギニアのラエまで飛んだ。乗っているのは彼女とナビゲーターの計2人。

カテゴリ: カルチャー
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執筆者プロフィール
徳岡孝夫(とくおかたかお) 1930年大阪府生れ。京都大学文学部卒。毎日新聞社に入り、大阪本社社会部、サンデー毎日、英文毎日記者を務める。ベトナム戦争中には東南アジア特派員。1985年、学芸部編集委員を最後に退社、フリーに。主著に『五衰の人―三島由紀夫私記―』(第10回新潮学芸賞受賞)、『妻の肖像』『「民主主義」を疑え!』。訳書に、A・トフラー『第三の波』、D・キーン『日本文学史』など。86年に菊池寛賞受賞。
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