7月半ば、福島第1原発から新たな問題が降ってわいた。原発事故現場のがれき処理から生じた粉じんが、福島県南相馬市などに飛来したというのだ。懸命な農業復興の途上にあるこの地域の農家は、怒りと困惑を隠さない。
昨年産に「基準値超え」出る
「平成26年度調査田 野馬追の里・おひさまプロジェクト」。こんな大きな看板が、南相馬市原町区太田地区の道路脇にある。見渡す限り緑の田園風景だが、ほとんどが生えるがままの雑草だ。そのほんの一角、計4.2ヘクタールの田んぼだけに稲の葉が伸びている。
すぐ近くのこんもりとした森は、有名な相馬野馬追の出陣地の1つ、相馬太田神社。朝靄の中、苗田の1本道を駆けていく騎馬武者の姿が夏の風物詩だった。が、20キロ南にある福島第1原発の事故が起きた2011年以後、稲作は市内全域で自粛されてきた。

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