毎日のように伝えられるM&Aのニュース。企業にとっては目をそらすことのできない現実であり、これからの経営に欠かせない戦略でもある。だが「規模の競争」へと向かうM&Aに意味があるのか―― ひとつの失敗が百の成功よりも、物事の本質をはっきりと照らし出すことがある。この夏、日本の産業界に大きな衝撃を与えた王子製紙の北越製紙に対する敵対的TOB(株式公開買い付け)の失敗はまさにその典型だった。王子の経営陣が意図せずに白日のもとにさらけ出したのは、今、世界経済に津波のように押し寄せているM&A(合併・買収)ブームの空虚な実態であり、それがもたらす負の側面だ。

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