「令計画失脚」に見る「赤い貴族」の栄光と没落

執筆者:野嶋剛 2014年12月24日
エリア: アジア

 12月22日夜、党統一戦線工作部長で全国政治協商会議副主席、胡錦濤前総書記の側近、「令計画」の「規律違反」での党の取り調べが始まったことが伝えられた。いわゆる「新四人組」の最後の1人であり、胡錦濤氏の大番頭として権勢を振るい、次期中央政治局員入りも噂された人物だった。

 令計画失脚の引き金になったと目されているのが2012年3月の長男の交通事故だった。裸の女性2人を乗せた長男のフェラーリが大事故を起こして死亡した際、令計画が事故のもみ消しを図ったことが問題とされ、公安系統を握っていた周永康に協力を依頼したとされている。女性2人のうち1人は死亡、もう1人も大けがを負ったが、その家族には巨額の「口止め金」が振り込まれたという。国内メディアには箝口令を敷いたが、海外メディアの報道で表沙汰になった。令計画は当時の中共中央弁公庁主任から統一戦線工作部長に降格。ただ、2013年からは名誉職とはいえ「党と国の最高指導者」と中国のメディアで呼ばれる政治協商会議副主席を兼務していた。

カテゴリ: 政治 カルチャー
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執筆者プロフィール
野嶋剛(のじまつよし) 1968年生れ。ジャーナリスト。上智大学新聞学科卒。大学在学中に香港中文大学に留学。92年朝日新聞社入社後、佐賀支局、中国・アモイ大学留学、西部社会部を経て、シンガポール支局長や台北支局長として中国や台湾、アジア関連の報道に携わる。2016年4月からフリーに。著書に『イラク戦争従軍記』(朝日新聞社)、『ふたつの故宮博物院』(新潮選書)、『謎の名画・清明上河図』(勉誠出版)、『銀輪の巨人ジャイアント』(東洋経済新報社)、『ラスト・バタリオン 蒋介石と日本軍人たち』(講談社)、『認識・TAIWAN・電影 映画で知る台湾』(明石書店)、『台湾とは何か』(ちくま新書)、『タイワニーズ 故郷喪失者の物語』(小学館)、『なぜ台湾は新型コロナウイルスを防げたのか』(扶桑社新書)など。訳書に『チャイニーズ・ライフ』(明石書店)。最新刊は『香港とは何か』(ちくま新書)。公式HPは https://nojimatsuyoshi.com
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