中東―危機の震源を読む (39)

海底ケーブル切断が示した「帝国の通信ルート」の要衝

[アレクサンドリア発]一月末、中国で大雪が降ったころ、中東の気象も大荒れだった。パレスチナでも雪が積もり、東地中海の南岸一帯は強い風と雨に晒された。エジプトのノーベル文学賞作家ナギーブ・マフフーズが、アレクサンドリアを舞台にした小説『ミラマール』でこの街を「雫の女王」と形容したように、冬季はエジプトにしては雨がちである。しかしそれにしても今年は例外的で、一月末は連日の激しい強風・雷雨に襲われた。滞在先のホテル前の広場でも、ケンタッキーフライドチキンの巨大な看板が落ち、電柱が折れてタクシーを直撃し、大破させた。

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執筆者プロフィール
池内恵(いけうちさとし) 東京大学先端科学技術研究センター グローバルセキュリティ・宗教分野教授。1973年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程単位取得退学。日本貿易振興機構アジア経済研究所研究員、国際日本文化研究センター准教授を経て、2008年10月より東京大学先端科学技術研究センター准教授、2018年10月より現職。著書に『現代アラブの社会思想』(講談社現代新書、2002年大佛次郎論壇賞)、『イスラーム世界の論じ方』(中央公論新社、2009年サントリー学芸賞)、『イスラーム国の衝撃』(文春新書)、『【中東大混迷を解く】 サイクス=ピコ協定 百年の呪縛』 (新潮選書)、 本誌連載をまとめた『中東 危機の震源を読む』(同)などがある。個人ブログ「中東・イスラーム学の風姿花伝」(http://ikeuchisatoshi.com/)。
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