ナイジェリア「予想外の平穏な政変」の深い意味

執筆者:平野克己 2015年5月8日
タグ: 大統領選
エリア: アフリカ

 波乱含みの選挙だった。原油価格の急落で財政が窮迫するなかナイジェリアの北東部ではボコ・ハラムが跳梁跋扈して勢力圏を拡大。治安が悪化し、当初予定の2月14日の投票日の延期を余儀なくされ3月28、29日に実施したナイジェリア大統領選。優勢が伝えられていた野党「全革新会議(APC)」は、選挙延期を与党の策略とみて反発を強め、政府批判をエスカレートさせていたし、無事にすんだことのないこれまでのナイジェリア総選挙の前歴からみても、大方は騒乱必至と覚悟していた。選挙直前の3月に出た世界4大会計事務所の1社である英国の『アーンスト・アンド・ヤング』社のレポートでは、ナイジェリアに魅力を感じると答えた国際投資家は僅か13.1%にとどまった。

カテゴリ: 政治 社会
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執筆者プロフィール
平野克己(ひらのかつみ) 1956年生れ。早稲田大学政治経済学部卒、同大学院経済研究科修了。スーダンで地域研究を開始し、外務省専門調査員(在ジンバブエ大使館)、笹川平和財団プログラムオフィサーを経てアジア経済研究所に入所。在ヨハネスブルク海外調査員(ウィットウォータースランド大学客員研究員)、JETRO(日本貿易振興機構)ヨハネスブルクセンター所長、地域研究センター長などを経て、2015年から理事。『経済大陸アフリカ:資源、食糧問題から開発政策まで』 (中公新書)のほか、『アフリカ問題――開発と援助の世界史』(日本評論社)、『南アフリカの衝撃』(日本経済新聞出版社)など著書多数。2011年、同志社大学より博士号(グローバル社会研究)。
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