高速鉄道建設:日本は「タイ」では中国に勝てるのか

執筆者:樋泉克夫 2015年10月13日
エリア: アジア

 9月29日、インドネシア政府は高速鉄道建設において日本ではなく中国を選択した。早速、菅義偉官房長官は「遺憾の意」を表明したが、いったい何がどう「遺憾」なのか、さっぱり分からない。インドネシアを舞台にした高速鉄道発注競争において、とどのつまり日本は敗北したということだろう。

 思えば4カ月ほど遡った5月27日、日本はタイ(首都バンコク=チェンマイ路線)における高速鉄道建設計画を、日本の新幹線方式導入を前提に調査を進めるとの覚書に調印している。かくて世界規模で繰り広げられている高速鉄道発注競争は、日中共に1勝1敗ということになる。

フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
樋泉克夫(ひいずみかつお) 愛知県立大学名誉教授。1947年生れ。香港中文大学新亜研究所、中央大学大学院博士課程を経て、外務省専門調査員として在タイ日本大使館勤務(83―85年、88―92年)。98年から愛知県立大学教授を務め、2011年から2017年4月まで愛知大学教授。『「死体」が語る中国文化』(新潮選書)のほか、華僑・華人論、京劇史に関する著書・論文多数。
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top