マイナンバーで動き出す「資産課税強化」

執筆者:磯山友幸 2015年10月15日
タグ: 日本
エリア: アジア

 来年1月からのマイナンバー制度の開始に向けて、国民ひとりひとりに「マイナンバー(個人番号)」を通知する作業が始まった。10月5日時点の住民票所在地宛てに12ケタのマイナンバーを記載した「通知カード」が、10月中旬から順次、簡易書留で郵送される。

 マイナンバー法が成立したのは2013年5月24日。年金などの社会保障と納税を1つの個人番号で管理する制度とされ、これに災害対策を合わせた3分野で利用されることになっていた。国民の利便性が高まる点を強調していたのだ。

 ところが、である。今年9月3日、衆議院本会議でマイナンバー法の改正案が可決成立したのだ。まだマイナンバーの実際の運用が始まっていないというのに、その利用範囲を広げる法律が通ったのである。具体的には、個人の預金口座情報とマイナンバーを結び付けたり、メタボ健診や予防接種の履歴情報などをマイナンバーと結び付けることが可能になった。

フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
磯山友幸(いそやまともゆき) 1962年生れ。早稲田大学政治経済学部卒。87年日本経済新聞社に入社し、大阪証券部、東京証券部、「日経ビジネス」などで記者。その後、チューリヒ支局長、フランクフルト支局長、東京証券部次長、「日経ビジネス」副編集長、編集委員などを務める。現在はフリーの経済ジャーナリスト活動とともに、千葉商科大学教授も務める。著書に『2022年、「働き方」はこうなる』 (PHPビジネス新書)、『国際会計基準戦争 完結編』、『ブランド王国スイスの秘密』(以上、日経BP社)、共著に『株主の反乱』(日本経済新聞社)、『破天荒弁護士クボリ伝』(日経BP社)、編著書に『ビジネス弁護士大全』(日経BP社)、『「理」と「情」の狭間――大塚家具から考えるコーポレートガバナンス』(日経BP社)などがある。
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top