北朝鮮「崔龍海氏解任」の深層(上)「3度目の失脚」の謎を追う

執筆者:平井久志 2015年11月22日
エリア: アジア

 朝鮮労働党中央委員会政治局は10月30日、党大会を来年5月初めに開催することを決定した。朝鮮労働党が党大会を開催するのは1980年に第6回党大会を開催して以来、36年ぶりである。金正恩(キム・ジョンウン)第1書記の父・金正日(キム・ジョンイル)総書記は1994年7月に金日成(キム・イルソン)主席が死亡したことで公式に金正日時代をスタートさせたが、2011年12月に死亡するまで遂に党大会を開催できなかった。
 来年5月の第7回党大会は、金正恩体制を再整備し、再スタートさせる区切りになるとみられる。金正恩第1書記は現時点でなぜ第7回党大会の開催を決定し、ここで何をしようとしているのか論考してみようとしていると、最後のパルチザン世代といわれてきた李乙雪(リ・ウルソル)元帥が11月7日に死亡した。そして同8日に発表された国家葬儀委員会の名簿に金正恩第1書記の側近だった崔龍海(チェ・リョンヘ)党書記など何人かの幹部の名前がなく、崔龍海党書記が党書記や党政治局員から解任された可能性が高くなった。
 第7回党大会開催の意味については、改めて論じることにし、本稿では当面の課題である崔龍海党書記の解任、失脚について考えてみたい。

カテゴリ: 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
平井久志(ひらいひさし) ジャーナリスト。1952年香川県生れ。75年早稲田大学法学部卒業、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年3月に定年退社。現在、共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞。 著書に『ソウル打令―反日と嫌韓の谷間で―』『日韓子育て戦争―「虹」と「星」が架ける橋―』(共に徳間書店)、『コリア打令―あまりにダイナミックな韓国人の現住所―』(ビジネス社)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか 金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書)『北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫)など。
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