遂に「令完成」が米国へ「機密情報」提供開始か

執筆者:村上政俊 2016年2月24日
エリア: 北米 アジア

 中国共産党の胡錦濤・前総書記の元最側近で、日本の官房長官に擬せられることもある重要ポスト・党中央弁公庁主任をかつて務めた令計画。今は「重大な規律違反」という名目で党中央紀律検査委員会の調査対象となり、去年7月20日に党籍剥奪、逮捕となった身だが、同委員会の幹部は今年1月、米国に滞在している令計画の弟・令完成の引き渡しについて米国と協議していることを、中国高官として初めて公に認めた。この幹部は、海外人脈を利用して「キツネ狩り」(中国語で「猟狐」、中国国外に逃亡する汚職幹部の追跡)を推進するために、外交官出身では異例の起用となった劉建超・国際協力局局長(元・駐インドネシア特命全権大使 )。中国としてはこの問題について、対話での解決を模索したいという姿勢を示したのだろう。しかし、2月になり、日本のメディアは報じていないが、令完成が米国側に情報提供を開始しているとフィナンシャルタイムズなどの欧米メディアが報じている
 内容は、核兵器関連(発射手順)の軍事機密や最高幹部の私生活に関する秘密、最高幹部の居住区である「中南海」(旧紫禁城の西側)の警備状況など、習近平政権を土台から揺るがしかねないものとされている。このような中国共産党および人民解放軍の中枢に関する機密情報をアメリカ側に握られることは、中国側としては絶対に避けたいはずである。

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執筆者プロフィール
村上政俊(むらかみまさとし) 1983年7月7日、大阪市生まれ。現在、同志社大学嘱託講師、同大学南シナ海研究センター嘱託研究員、皇學館大学非常勤講師、桜美林大学客員研究員を務める。東京大学法学部政治コース卒業。2008年4月外務省入省。第三国際情報官室、在中国大使館外交官補(北京大学国際関係学院留学)、在英国大使館外交官補(ロンドン大学LSE留学)勤務で、中国情勢分析や日中韓首脳会議に携わる。12年12月~14年11月衆議院議員。中央大学大学院客員教授を経て現職。著書に『最後は孤立して自壊する中国 2017年習近平の中国 』(石平氏との共著、ワック)。
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