インテリジェンス・ナウ

「海底」「上空」「サイバー」で米国を脅かすロシア:新冷戦の恐怖強まる

 米国とロシアとの関係は本当に、「新冷戦」と呼べるのかどうか。米中央情報局(CIA)などの情報機関はプーチン・ロシア大統領の本音をつかみかねており、判断に苦しんでいる。CIAは彼の一挙手一投足を分析している、という情報が流れたこともあった。
 だから、米情報機関はロシア軍の動きには極めて敏感だ。昨年来、ロシアが海底、米上空、サイバー空間で奇妙な動きを見せ始めたことにも強い関心を集めている。
 海底では情報通信網の重要部分を成す海底ケーブル、上空では無人機やサイバーを使って重要インフラを狙い、「有事あるいは紛争時には攻撃を計画している可能性がある」(ニューヨーク・タイムズ紙)とみて、米軍および米情報当局は警戒を強めている、というのだ。果たしてロシアの真の狙いはどこにあるのか。日ロ関係にも深刻な影響を及ぼす米ロ関係の深層を探ってみたい。

カテゴリ: 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
春名幹男(はるなみきお) 1946年京都市生れ。国際アナリスト、NPO法人インテリジェンス研究所理事。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授、早稲田大学客員教授を歴任。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『米中冷戦と日本』(PHP)、『仮面の日米同盟』(文春新書)などがある。
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