国連イラン制裁の現場から(6)「テロ支援国家」としてのイランの影響力

 国連によるイラン制裁は核・ミサイル開発を阻止し、大量破壊兵器の不拡散を目指すものであった。しかし、そうした「ターゲット制裁」だけでは効果が充分には出ないため、大量破壊兵器の開発と密接に関連し、また開発を担う主体(イランの場合はイスラム革命防衛隊:IRGC)の収入源ともなっている、通常兵器の輸出入も制裁対象となっていた。また、国連安保理制裁の中でも、内戦やクーデター、人権抑圧などに対する制裁では、制裁対象となる行為と通常兵器は密接に関連するため、武器禁輸が制裁のメニューの中に組み込まれることが多い。
 こうしたことから、イランや北朝鮮といった核・ミサイル開発に対する制裁においても武器禁輸が制裁項目として含まれることになったが、イランの場合はもう1つ特殊な事情があった。

カテゴリ: 政治 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
鈴木一人(すずきかずと) 東京大学公共政策大学院教授 国際文化会館「地経学研究所(IOG)」所長 1970年生まれ。1995年立命館大学修士課程修了、2000年英国サセックス大学院博士課程修了。筑波大学助教授、北海道大学公共政策大学院教授を経て、2020年より現職。2013年12月から2015年7月まで国連安保理イラン制裁専門家パネルメンバーとして勤務。著書にPolicy Logics and Institutions of European Space Collaboration (Ashgate)、『宇宙開発と国際政治』(岩波書店、2012年サントリー学芸賞)、編・共著に『米中の経済安全保障戦略』『バイデンのアメリカ』『ウクライナ戦争と世界のゆくえ』『ウクライナ戦争と米中対立』など多数。
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