11月8日に投票が行われた米国大統領選挙は衝撃的な結果となった。投票直前まで、敗北後にどのような対応を示すのかと敗北を前提とした議論をされていたドナルド・トランプ氏が、大統領選挙人538名の過半数270名を大きく上回る290名を獲得する一方(ミシガン、ニューハンプシャー2州については未確定)、優勢と見られていたヒラリー・クリントン氏の獲得選挙人は228名にとどまり、多くが事前に予想していなかった敗北を喫した。ファーストレディ、上院議員、国務長官の経験が合わせて20年あり、オバマ大統領も含めた過去のいずれの大統領候補よりも豊富な政治経験のあるクリントン候補が、公職経験の全くないトランプ候補に敗れたのである。
複数の米有力メディアは、今回の結果を「世紀の番狂わせ」とし、68年前の1948年大統領選挙で、直前まで優位と見られていた共和党候補のトーマス・デューイ・ニューヨーク州知事(当時)が、敗北は不可避と見られていた民主党候補の現職ハリー・トルーマン大統領に敗れた例と比較することで、クリントン候補の敗北の衝撃の大きさを伝えていた。
また、国際社会でも、6月23日にEU(欧州連合)離脱を選択したイギリスの国民投票のような、事前には予想もしなかった出来事は米国では起こるはずがないと見られていた。だが実際に、当選するはずがないと多くが見ていたトランプ氏が当選するという事態が現実となったのである。
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