世界ナンバーワンの名をほしいままにするトヨタだが、大きくなりすぎた図体はかつてのGMのような“共食い”を始めている。 GMまであと九千台――。世界最大の自動車市場である米国の五月の販売台数で、首位の米ゼネラル・モーターズ(GM)は前年同月比二七・六%減と大きく落ちこみ、追いあげるトヨタとの差は遂に一万台を切った。グローバル市場でのシェアではトヨタが今年、GMを逆転するのは既に確実とはいえ、GMのお膝元である米国でトヨタが売り上げ台数のトップに立てば、猛反発を受ける恐れは大きい。だが、世界の製造業の頂点に立とうとするトヨタには一九八〇年代に激化した「日本車バッシング」のような貿易摩擦による波風を気にする風はない。米国民はトヨタ抜きに暮らせないところまで来ているからだ。

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