“新任の総統”馬英九は、なぜ少数の強硬派を抑えきれなかったのか。尖閣問題は今後、馬政権を縛るとともに、日本にも難題に――。[台北発]二つの「釣魚台」をめぐり、東京、北京、台北の東アジア三極が絡み合い、火花を散らした。 六月中旬、かつて田中角栄らあまたの要人を迎え、現在は六カ国協議の舞台でもある北京外交の表玄関、釣魚台迎賓館で、中国の胡錦濤国家主席と、台湾の江丙坤・海峡交流基金会理事長(対中交流窓口トップ)が握手をかわし、中国と台湾の対話が九年ぶりに復活した。そのとき、はるか南方の東シナ海に浮かぶ尖閣諸島(台湾名=釣魚台、中国名=釣魚島)で、台湾の遊漁船が日本の海上保安庁の巡視船と衝突、沈没した事件で、台湾の反日行動が一気に燃え上がったのである。

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