南仏ニース「トラック暴走テロ」から1年半(下)本当に「ジハード」だったのか

執筆者:国末憲人 2018年2月14日
エリア: ヨーロッパ 中東
犯人ブフレルのフランス居住許可証(C)AFP=時事

 

 欧州のイスラム過激テロは、たとえそれが小規模でも、本当の一匹狼によるものは少ない。多くの場合、テロリストは他の過激派仲間と頻繁に連絡を取り合い、緩やかなネットワークの一翼を担っている。彼らは、単独犯としてジハードを完遂するほどの技術も度胸も宗教心も備えていない。仲間から励まされ、支援を受けながら、何とか一人前のジハード主義者となって、テロに及ぶ。

 このような仲間の影響を受けたために、モハメド=サルメン・ラフウェジ=ブフレルもイスラム教、さらにはジハード主義に開眼したのではないか。そのような仮説は当然ありうる。

カテゴリ: 政治 社会 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
国末憲人(くにすえのりと) 東京大学先端科学技術研究センター特任教授 1963年岡山県生まれ。85年大阪大学卒業。87年パリ第2大学新聞研究所を中退し朝日新聞社に入社。パリ支局長、論説委員、GLOBE編集長、朝日新聞ヨーロッパ総局長などを歴任した。2024年1月より現職。著書に『ロシア・ウクライナ戦争 近景と遠景』(岩波書店)、『ポピュリズム化する世界』(プレジデント社)、『自爆テロリストの正体』『サルコジ』『ミシュラン 三つ星と世界戦略』(いずれも新潮社)、『イラク戦争の深淵』『ポピュリズムに蝕まれるフランス』『巨大「実験国家」EUは生き残れるのか?』(いずれも草思社)、『ユネスコ「無形文化遺産」』(平凡社)、『テロリストの誕生 イスラム過激派テロの虚像と実像』(草思社)など多数。
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