イラン制裁専門家パネルから見た北朝鮮「国連捜査」の現場(3)

執筆者:鈴木一人 2018年4月20日
2010年8月、核燃料が搬入されたイランのブシェール原発。国連の制裁を受けても、なかなか核開発をやめようとはしなかった (C)EPA=時事

 

 古川勝久さん著『北朝鮮 核の資金源:「国連捜査」秘録』(新潮社、以下「本書」)に何度も出てくるのは、中国の官僚主義的な対応よりもたちが悪いロシアの対応である。本書でもロシアは「あまりしつこく聞いてくると、専門家パネルから追い出すぞ」(p.229)といった脅しのニュアンスを含んだ対応をすることが問題とされている。

中国よりもたちの悪いロシア

 ロシアのたちの悪さは、単に情報を出さないというだけではない。専門家パネルのロシア人メンバーは多かれ少なかれロシア政府からの影響を受けており(専門家パネルメンバーはいかなる国からの指示や命令を受けてはならない)、しかも、本書でしばしば触れられている「仕事をしない人」を送り込む傾向がある。イラン制裁専門家パネルにも、外務省に入ったばかりのまだ20代の人物を送り、しかも非常に頑固な人物で、パネルの報告書だけでなく、加盟国に発出する書簡の文言にもケチをつけてくる。しかも、英語が第1言語ではないにもかかわらず、イギリスやアメリカ出身の英語ネイティブのメンバーの文章に対してケチをつけ、なかなか説得に応じないため、1つのパラグラフの文章を確定するまでに1日かかるといったこともあった。

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執筆者プロフィール
鈴木一人 すずき・かずと 北海道大学大学院法学研究科教授。1970年生まれ。1995年立命館大学修士課程修了、2000年英国サセックス大学院博士課程修了。筑波大学助教授を経て、2008年より現職。2013年12月から2015年7月まで国連安保理イラン制裁専門家パネルメンバーとして勤務。著書にPolicy Logics and Institutions of European Space Collaboration (Ashgate)、『宇宙開発と国際政治』(岩波書店、2012年サントリー学芸賞)、『EUの規制力』(日本経済評論社、共編)、『技術・環境・エネルギーの連動リスク』(岩波書店、編者)などがある。
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