「君主号」の世界史 (4)

秦の滅亡と「皇帝」の変質

執筆者:岡本隆司 2018年5月12日
タグ: 中国
エリア: 中東 アジア
始皇帝崩じて兵馬俑は残したが……(C)AFP=時事

 

 始皇帝に関しては、専門的な研究も一般的な読み物もおびただしい。「皇帝」という新たな君主号にも、必ず解説がある。だから「皇帝」がなぜそうした字面・表記になって、どんな意味を含んでいるかについては、どの本にもくわしく書いてあるし、筆者にとりたてて異論があるわけでもないので、いっさい省略としたい。

 むしろここでは、「皇帝」として、始皇帝本人がどのような言動をしたか、せねばならなかったかに注目しよう。以後の「皇帝」号の意義に関わるからである。

カテゴリ: 社会 政治 カルチャー
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執筆者プロフィール
岡本隆司(おかもとたかし) 京都府立大学文学部教授。1965年、京都市生まれ。京都大学大学院文学研究科博士後期課程満期退学。博士(文学)。専門は近代アジア史。2000年に『近代中国と海関』(名古屋大学出版会)で大平正芳記念賞、2005年に『属国と自主のあいだ 近代清韓関係と東アジアの命運』(名古屋大学出版会)でサントリー学芸賞(政治・経済部門)、2017年に『中国の誕生 東アジアの近代外交と国家形成』で樫山純三賞・アジア太平洋賞特別賞をそれぞれ受賞。著書に『李鴻章 東アジアの近代』(岩波新書)、『近代中国史』(ちくま新書)、『中国の論理 歴史から解き明かす』(中公新書)、『叢書東アジアの近現代史 第1巻 清朝の興亡と中華のゆくえ 朝鮮出兵から日露戦争へ』(講談社)、『悪党たちの中華帝国』(新潮選書)など多数。
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