宇野浩二『忘れ難き新中国』(『世界紀行文学全集』修道社 昭和46年)
小説家の宇野浩二(明治24~昭和36年=1891~1961年)は、大正期から亡くなる直前まで名立たる文人と交友を持ち、一時期は文壇の大御所的な存在だったと思う。
だが、この旅行記の冒頭部分を眼にして、この程度に貧弱で曖昧な知識しか持ち合わせていなかったのかと、呆れ返ってしまった。
以下に抜粋する。
「昭和三十一年十一月七日の午前八時頃、私たち(久保田万太郎、青野季吉、私、その他、)は、香港の飛行場についた。(香港の飛行場とは、香港ではなく、九竜の飛行場である、といふことを、後で知つたのである。さて、)私たちは、飛行場から九竜の停車場まで行くバスの窓から町を眺めながら、新中国の町としては妙にケバケバしいのを、不思議に思つた。(ところが、これも、ずつと後に、この町は、新中国の内にありながら、イギリスの領分になつてゐる事を、知つて、「なるほど、さうであつたか」)と思つた」
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