サイバーウォー・クレムリン (18)

ロシアの「宇宙監視」「衛星攻撃」という脅威

執筆者:小泉悠 2018年6月29日
タグ: 中国 ロシア
エリア: ヨーロッパ
タジキスタンの「アクノー」(ロシア航空宇宙軍のホームページより)

 

 前回の小欄(2018年6月15日「宇宙での『劣勢挽回』を狙うロシア『衛星攻撃』能力」)では、宇宙空間における米国の優勢に対するロシアの戦略について紹介した。米国の人工衛星群を攻撃あるいは妨害し、その機能を発揮できなくするというものだ。ただ、口で言うのは簡単でも、これを実行するとなると話は別である。

 では、ロシアの対宇宙作戦能力とは実際、いかほどのものなのか。

トップクラスの宇宙状況監視能力

 ロシアの実力を測る上でまず重要なのが、「宇宙状況監視(SSA)」と呼ばれる能力である。

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執筆者プロフィール
小泉悠(こいずみゆう) 東京大学先端科学技術研究センター准教授 1982年千葉県生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科修了。民間企業勤務を経て、外務省専門分析員、ロシア科学アカデミー世界経済国際関係研究所客員研究員として2009年~2011年ロシアに滞在。公益財団法人「未来工学研究所」で客員研究員を務めたのち、2019年3月から現職。専門はロシアの軍事・安全保障。主著に『軍事大国ロシア 新たな世界戦略と行動原理』(作品社)、『プーチンの国家戦略 岐路に立つ「強国」ロシア』(東京堂出版)、『「帝国」ロシアの地政学 「勢力圏」で読むユーラシア戦略』(同)。ロシア専門家としてメディア出演多数。
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